滞在中、僕は見てみたかったものがあった。
それが、パレスチナ自治区で行われるイスラエルに反対するデモだ。
他の旅人から聞き外国人でも行けるらしく、この国の現状を知る意味でも僕はここに行ってみたいと思った。
目次
ビリイン村
パレスチナ各地でデモは行われているが、このビリイン村というのがエルサレムからも行きやすくオススメされた。
ここではイスラエルが建設している壁に反対する抗議デモが毎週金曜日に行われているらしい。
僕は早速、そのデモに行ってみることにしたのだった。
ビリイン村の金曜デモ
現地に着くと、小さな村ではすでに多くの集まっている人たちを見つけることができた。
外国人の姿もちらほら確認ができる。アジア人や欧米人、僕のような旅行者に、黄色いベストを着たジャーナリスト記者達もいた。
昼過ぎ、時間になるとデモ隊は出発した。
みんな歌うように声を上げている。
子供は半分お祭り騒ぎのような感じでちょこまかとしている。
しかしそれも現場が近づくにつれてすぐに緊張感に変わった。
イスラエル兵
デモ隊は声を上げて叫び進んでいくが、その先にイスラエル兵達が見えてきた。
100mほど手前まで近づくと鉄線が張られ、これ以上近づくなというサインが出されている。
ここでデモ隊は一時待機し、代表が一人イスラエル兵のところにまで行き対話を図る。
向こうは重装備でこちらは手ぶらだ。
しかしこれはある意味恐ろしい事だった。
彼はすごく勇気がある。
なぜならばイスラエルはパレスチナに対して容赦しないからだ。
日常的な嫌がらせは至る所であった。弱者に老人、妊婦などにもそれは及び、暴力、虐待、拷問などは当たり前だった。
僕がここにいても一定の安全は確約されているが、それは僕が外国人だからだ。
彼らは国際上の問題となるので外国人には手を出さない。しかしその分パレスチナ人に対しては非道極まりない。
それはすでに多くの報道やニュースで明るみとなっている事ではあるが。
催涙弾の威力
話をしに行った彼、僕らは不安な目でそれを見守っていた。
そして5分ほどして異変は起こった。
彼が殴られ、警棒で叩かれ始めたのだ。すぐさま仲間達は詰めより小競り合いへと発展。
しかしこれでは一向に騒ぎは治らない。
どんどん空気は悪くなりエスカレートしていく。
そして…
催涙弾が撃たれた…!!
これは凄かった。日本で生まれ育った僕にはもちろん催涙弾なんて初めてのものだった。
しかしこれは堪ったものじゃない。
その煙に少しでも巻かれると、目は開けていられなく強烈に痛み、涙で滲み前が見えない。
のどや鼻も痛み、鼻がぐしゅぐしゅになる。
あらゆる顔中の粘膜は痛くて、まともに浴びればのたうち回る苦しみだろう。
彼らはその後、連続で辺り一面に撃ってきて、ここの一帯は強烈な煙と匂いで包まれた。
こうなるともう僕らは近づくこともできないし、退散するしかない。
それでも精一杯の抵抗で石を投げるパレスチナ人側。
失明の危険もあるゴム弾
最後のそういった抵抗をやめさせるために、スナイパー達が出てくる。
ここではゴム弾を撃ってくるが、当たればそうとう痛いと聞くし、特に顔に当たらないように気をつけないといけない。
目に当たれば失明する可能性がある。
海外メディア
TVの報道も入る。海外のメディアだろうか?
しかしここの現状は海外でも有名すぎるほど知られてはいるが、それでも未だイスラエル政府を止めることができていない。
ここまでの一連の流れでもう打つ手がなくなり、そして人々も諦めのモードに。
こうして今回のデモも終わる。
何も進展しなかったと嘆いて…。
人種を隔てる巨大な壁
帰り際に、壁を見せてもらった。
僕は一瞬たじろいでしまった。
そこには信じられないほどの巨大な壁があったからだった…。
「Peace be with you」(平和はあなたと共に)と書いてあるが、どの口がそんなことを言えるのか。
これはイスラエルが一方的に起こしている侵略なのだ。
それにしても巨大な壁だ…。
その先ずっと続いていくのだった。
そしてお土産じゃないが、畑に落ちていたこれを最後に拾ってきたのだった。
【イスラエル旅3へ続く】