イスラエル滞在中、もう一つの貴重な経験をしてきた。
パレスチナ問題は一言で言うと、宗教問題ではなく、一つの土地をめぐる二つの民族の対立なのだ。
そして実質、力のあるユダヤ人側がアラブ人を支配しているのが現状なのだ。
そして壁以外にも、「ユダヤ人入植地」と呼ばれるコロニーが各地に多く造られていることも問題となっていた。
それらは強制的にパレスチナ人の土地達を奪って造られるからだ。
僕は滞在中ご縁があり、その入植地の内部へと行かせてもらうことができた。
目次
砂漠の中のオアシス
この地は基本的に砂漠のようで何もない。
郊外へと出れば、左右にはただただ荒野が広がる。
僕らは車でそこを進んで行った。
しばらく行くと検問所が現れ、そこを通り過ぎると有刺鉄線で張られたコロニー内部へと進入したのだった。
その中をさらに進んでいく。
すると突然綺麗な街が現れたではないか!
一気に世界が変わり、まるでアメリカのようなモダンでお洒落な家々だ。
そのうちの一件の前で車は止まった。
ユダヤ人入植者の家庭
お家の中に入ると、女性の方が快く迎えてくれた。
真っ黒な衣装が印象的で、そして白い肌に金色の髪の毛。
世界各地に散らばったユダヤ人には現代では様々な混血がいて、その見た目はさまざまだそうだ。
彼女はポーランドから来たと言っていた。
お家の中は豪華で、今までの貧しかったパレスチナや他の中東の地域とは明らかに異なり、欧米もしくは日本の生活レベルの質であった。
奥さんは僕らの訪問をすごく喜んでくれて、手料理をたくさん用意して待っていてくれた。
おかげで僕らは和気あいあいと楽しく過ごさせてもらった^^
しかし楽しく食事をしている一方でいろいろと疑問もあった。
彼女達はいったい何を考えてここに住んでいるのかや、僕ら外国人にこの現状を見せることに何も罪悪感などを感じていないのかということだ。
しかし少なくとも彼女の態度から「侵略」しているという罪悪感は微塵も感じられなかったし、私たちは「ここに住む権利があるわ」と言わんばかりの態度は、会話の節々から感じられた。
入植地では
その後は彼女の7歳になるという娘と一緒に遊んだ。
とても無邪気な子で可愛らしかった^^
外に出て敷地の中を色々と案内してくれた。
辺り一体は広大な荒野が広がる。
今は8月。暑いっ!!
そして僕らがお邪魔している時でも、時折、遠くから爆発音が鳴り響き煙が立ち上がる…。
すごい環境だが、それでも子供は育つ。
これが日常の光景と化していればさほど疑問に持つ事もなく。
そして親や先生や、政府が正しいと言ったことが正しいと思い、それが正義だと思い込んで。
敷地内には、大きなビニールハウスもあった。
そこでは農業が試されていたようだが、今は半分崩壊し荒れた場所となっていた。
ここは砂漠であり、水が大変貴重となってくる。
そのため植物を育てるのも大変なことだそうだ。
しかし水が大切なはずなのに、ここにはなんとプールがあった…!!!
僕らは一緒に入ろうと誘われ、罪悪感も感じながらしかし固くなってもいけない。
あまり深く考えても仕方ないので僕らも一緒に遊ばせてもらうことにしたのだった。
最後に驚いたことがあった。
2007年のこの当時、この子はこの歳で自分のパソコンを持ち遊んでいた。
日本でもまだまだここまでは普及していなかった。
さすが、この国は時代の先を見据えているなと思った。
ユダヤ人入植地を見て思ったこと
きっとここに住む人たちに罪悪感はないだろう。
それは何も隠さずにこの地を全て見せてくれた彼女らの笑顔がそれを物語っていると思った。
だって人はそれぞれに正義があるし、みんなが幸せになる権利もある。
けれど、その裏で虐げられている人達がいること、圧政や侵略によって苦しんでいる人達がいること、その事を知っていないといけない。
でなければ両方とも不幸だ。
また負の連鎖というのは、必ずまた巡ってもくるものでもあると思うから。
その後娘の描いた絵が置いてあった。
戦闘機だ…。
たまたまこれを描いたのか、それともよく描くのか?
これが好きだから描いているのか、これをよく見るから描いているのか….?
これが彼女達の日常でない事を願うばかりであった。
生活の中にそれらが当たり前にありすぎると何も感じずに成長してしまい、そんな社会にも何も疑問を抱かなくなっていってしまう..。(日本も違うことで多々ある事ではあるが…)
テレアビブを見て
最後に僕は首都のテレアビブにも行った。
そこで見た光景は、また僕の脳裏に深く焼きついたのだった。
すごく綺麗で、とてもよく発展している!
先進国のそれと何も変わらないではないか!
そして何よりも平和だ!!
平和そのもの!
みんな海でバケーションしてる!!
綺麗な街、よく整備された海辺。みんなキャーキャー楽しんでいて、僕は今、本当に同じ国にいるのかとさえ疑問に思ってしまった。
夜になると、クラブの音が聞こえてきたり、ナイトライフを楽しむ人々の姿。
色々と見てきた後では、これらの光景と人々の意識のギャップにいささかショックを覚えたのだった。
最後に 〜平和のために〜
これは僕が訪れた2007年当時の様子。
しかし現在も改善されるどころか、さらに悪化している。
イスラエルのパレスチナ侵略・虐殺は今も続き、あの巨大な壁の建設もひたすらに進行している。(全長710km中およそ半分完成済)
国際世論や、国連、国際司法裁判所ももちろんイスラエルのそのあらゆる行いを違法とし非難しているが聞く耳を持たない。
アメリカに至っては変わらずにイスラエルの肩を持つ始末。
けれど、今はいいかもしれない。しかし時代はかならずまた動く。
暴力でのみ支配してきたこの地。未だ人々は何も学ばない。
暴力には暴力でしか返ってこないという事を。
ユダヤ人は何も学んでいない。
この先、ユダヤ人はまた迫害されるだろう。すると今度はアラブ人側が恨みを晴らすと言ってユダヤ人虐殺を始めるかも知れない。
でもそれだと永遠と同じことの繰り返し。
人間は学ぶことができるのだろうか?
世界の平和はこのイスラエル問題からとよく言われる事がある。
このイスラエルの問題が解決できれば、世界に解決できない問題はないとさえ言われている。
神様がこの地を3つの宗教の聖地にしたのには何か意図が隠されている気がしてならない。
欧米に行くと、よく、「Brother」と言われる。
そう、「兄弟」だ。
彼らは挨拶でよく「兄弟、元気かい?」と言ってきたりする。あまり親しくない間柄でも。
イスラムの国々でもそうだ。
彼らの根本的な価値観に、そういった兄弟観念があるのだ。
そう、これは神様がまさに意図しているところではないのだろうか?
歴史や誇り、民族、因縁、いろいろと複雑に絡んでしまっている事ではあるけれど、実はその答えはすごく簡単だったりする。
日本には、ある有名な詩で分かりやすい言葉があった。
それは、
『うばいあえば足らぬ、分け合えばあまる。』
(相田みつを)
たった、これだけではないだろうか?
平和な世の中が来ることを願って🍀