皆さんはハンドパンという楽器をご存知ですか?
2000年にスイスの工房で産声をあげた全く新しいその楽器は、見た目のユニークさとそしてその美しい音色も相まって瞬く間に大人気となった。
21世紀に生まれた最初の楽器であり、それに相応しく高度な技術を用いた鉄の共鳴によるメタル楽器だ。
それは手作りでしか今のところ作れなく、またすごく繊細な楽器のため熟練の職人さんによる一台一台手作りされている。
その為に欲しいユーザーの数に対して生産が追いついていないのが現状であり、未だに珍しい楽器でありその希少性からも高値で取引される。
現在では世界中で300社以上のハンドパンメーカーがあるとされ、また個人で製作を試みている人もいる。
実際のところ誕生から20年を経て、珍しい楽器ではあるが所有者は徐々に増えてきた。
日本ではTVやマスコミへの登場により知名度は少しづつ上がってきているし、またお店の店内BGMでもハンドパンを使った曲を聴く事がある。
個人的にはハープの音を連想させたり、マリンバにも似通うものがある気がする。
今回はそんなイベントが日本で初めて開催されたので、その様子をレポートします!!
目次
日本初となる大規模なイベント!
去る2019年5月11日、12日、東京代官山にて東京ハンドパンフェスティバルが行われた。
日本ではここまで大規模に行われたのは初めてであろう。
それ以前にも、仲間内の有志で開催されていたハンドパンのイベントはいくつかあったが、海外トッププレーヤー達を呼び大々的に資金を使い、スポンサーや多くのサポートスタッフ、会場装飾なども入り行なわれた事は未だになかった。
また英語による案内や、会場では徹底して二か国語によるアナウンスもあった。
海外からは欧米も含め、アジアからも多くのゲストが招かれており、言葉の不安は海外に行けば常に付きまとうものである。
またハンドパン好きはみんな優しいとはアーティストの誰かが言っていた言葉だが、ハンドパンが優しい音色だから優しい人が集まるのか、その人が優しいからハンドパンが好きなのかは分からないが。(笑)
しかしそんな温かさと優しい愛情に満ちた空間であったことだけは確かだった。
海外トッププレーヤーを日本へ!
世界を見渡すとハンドパンプレーヤーは多くいる。
特にヨーロッパ、そしてアメリカに多い。
元々の原産国がスイスなのでそこを中心に広まっていったという背景もあってか、ヨーロッパでは多くのプレーヤーに多くのメーカーが存在する。
ストリートで演奏している姿もよく見かける。
そんな中で有名なプレーヤーも数多く出てきている。
今回のイベントでは、その中でもトップと讃えられるポルトガルのハンドパンプレーヤーkabeção(カベサオ)、その彼が来日し演奏するというので、国内のハンドパンプレーヤーや愛好者達の間ではにわかに騒然となっていた。
また、他にも海外からハンドパンメーカーも来たり、ハンドパンを入れるハードケースのメーカーも来たりと豪華なゲスト陣に迎えられイベントは行なわれた。
豪華アーティストによる演奏
ハンドパンには基本9つの音しかない。それをどう組み合わせるか、またリズムをどう刻むかで幾通りもの個人の感性が活きてくる。
上手い人になると、数少ない音でここまで表現できるのか!と思わせる魅惑の音色を奏でる。
楽譜やルールもなく、個人の感性とセンスが強く左右する。
kabeção(カベサオ)
そして今回メインに登場したのが、上記したアーティストkabeção(カベサオ)!
彼はその前に中国に、この後はギリシャに行く予定のようで、まさに世界中を飛び回っているアーティストであった。
そんな誰しもが感じる日常から生まれた曲の演奏は、一時間近い演奏時間だったが、観客は誰一人として飽きたりダレてしまう事なく、夢中になって彼に魅入っていた。
Kabeção – Golden Mutant (Cave Session)
https://youtu.be/Ji3-kQ2irOs
Kabeção -Scorpion Bite(Low)
https://youtu.be/kG0yXIH20MI
まとめ〜ハンドパンの今後〜
チケットはソールドアウト。満員の会場からは割れんばかりの拍手が起こり、大成功の内にイベントは幕を閉じた。
今回、奇跡的というか凄く出来た話しなのだが、TV局の取材が入っていた。
それは、情報番組の1枠というものではなく、ドキュメンタリーだった。
それは、テレビ東京の『Youは何しに日本へ!?』という番組ロケだった。
海外アーティストの1人が成田空港に降り立った時に、その取材陣に出合い密着取材をお願いされたのだった。
長距離フライトの末に辿り着いた日本で、入国審査、税関を抜けてようやく自由になったと思いきや、突然TV取材され意味もわからなかっただろうに。笑
しかしその彼は快くそれを引き受けて、僕らの元へとそのカメラマン達を連れて来たのであった。
というわけでこのイベントの一部始終が、そしてハンドパンの工房にもカメラは入り、その製法から工程まで全てが撮影されたのだという。
未知なる楽器だったハンドパンが今、大々的に注目され市民権を得ようとしている。
情報が少なく、どこで購入できるかも分からなかった時代を経て、その美しい音色はこれからより多くの人々の元へと届く事になるだろう。
その時、もしもみなさんも演奏してみたいと思った時や、また生演奏を聴きたいと思った時、その扉はすでに開け放たれているハズだ!
今回行われた東京ハンドパンフェスティバル’19。
それを主催する東京ハンドパンラボ。彼らも次回を目標にすでに動き始めている。