Saluton al ĉiuj!! (みなさんこんにちは!)
突然ですが、みなさんはエスペラント語ってご存知ですか?
聞いたことのない言葉?
どこにある国?どんな民族??
実は、そのどれでもないんです。
この言葉は18世紀後半にヨーロッパのある人物によって造られた人工言語なんです!
なので、特定の国や民族によって話されている訳ではありません。
その理念は、公平中立な世界語として造られました。
また、
が念頭に置かれています。
誕生から130年。まだまだ知名度は低いですが、草の根活動を通して徐々に普及しつつあるようです。
これはもしかしたら、次の時代のキーワードになるかもしれません。
目次
あらゆる民族にとって平等であること
この言語の生い立ちは1887年、現在のポーランド東部に住むユダヤ人眼科医ルドヴィコ・ザメンホフ氏によって創案された言葉です。
当時のポーランドはロシア領であり、そこにポーランド人、ユダヤ人、ドイツ人が混在していて、人々はロシア語を話すことを強要されていたそうです。
しかし、多くの民族の混在は、言葉による混乱とそこから民族同士による争いに発展してしまうことが多々あったそうです。
そこで彼が思いついたのが、どれか一つに偏った言語でなく、皆が中立的に使える第二言語があれば平和になるではないだろうか、そう考えたのが最初のきっかけだったそうです。
引用:wikipedia
現在この世界には、7000以上の言語があると言われています。
しかし、それのどれか一つを世界語にすると、絶対にどこかの国家間で張り合いが出てくるし不公平が生じる。
そうではなく、それぞれの民族の言葉は尊重しつつ母国語として持ち、中立に存在する第二の言語をみな使えば世界は平和に繋がるだろう。
それが彼の言う国際共通語という考え方です。
習得が容易であること
多くの言語では歴史の中で培われて来た為に、不規則な文法の変化が数多く存在します。
「英語」は他のヨーロッパの言語と比べて比較的簡単ではあるけれど、それでも厄介なところは多いです。
例えば、「行く」という動詞。
現在形の「go」は、過去形になると「went」になりますよね?
全く違う形になってしまいそれらを全てを暗記する必要があります。
他の言語でもそういったものは多くあり、勉強する苦労はつきません。
しかしこのエスペラント語は、人工的に造られただけあって、そういった不規則なものは一切ありません。
動詞の過去形や未来系の変化などは、それぞれの語尾に決められた文字を付けるだけで簡単に表すことができるようになっています。
そして、
全ての名詞は「o」で終わり
全ての副詞は「e」で終わり
全ての形容詞は「a」で終わるなどに統一。
それは、言葉を学び、文章を作る上でとても簡単になります。
そして発音は、母音が5つ、ア、エ、イ、オ、ウ。
日本語と一緒です。
全てローマ字読みで発音でき、聴いたままに書くことができる。
複雑な発音はないのです。
表現力の豊かさがあること
また、ザメンホフ氏は、ただ通じるだけでなく言葉としての美しさや豊かさも大切だと考えました。
彼は、シェイクスピアを始めとした様々な古典や文学作品をエスペラント語に翻訳し、言語としての表現力の豊かさや深さをも追求しました。
彼の死後、現在では、後世によって世界中の多くの古典がエスペラント語に翻訳されています。
さらにエスペラント語での歌や、演劇、詩なども登場しています。
一部には、結局造られた人工言語では感情や情熱をしっかりと表現する事はできないと揶揄されている。
けれどもそれらは、時間と共にその成熟度が増していくものではないでしょうか?
それは全ての文化、言語でも同じだと思うから。
昔よりかは今の方がどの言語でも表現力や語彙は増えているだろうし、その時々に現れる文学、芸能、芸術に秀でた人物。また、若者が創る新しい言葉、表現、スラング。
そうやって言語も磨かれていくものだと思うから。
エスペラント語にルーツはあるの?
エスペラント語を実際に聴いてみると分かりますが、パッと聴いた感じだとスペイン語やイタリア語などを連想させます。
それもそのはず、この言語の主なルーツとなっているのはラテン語なんです。
創案者のザメンホフ氏は当初、ラテン語を復活させる事が言語問題の解決の鍵になると考えた。(ラテン語は古代ローマ帝国などで使われていた言語。今はどの国も使っていない)
しかしラテン語の持つ複雑な文法は学習の壁となる。
そこでその複雑な文法は排除し、極めてシンプルな構造とした。またゲルマン語族(英語、ドイツ語など)からも語彙を流用し、エスペラント語風にアレンジした。
まったくの0から新しい単語を作るよりかは、既存の言語から語彙を流用することによって、初めてこの言語に接する人でもなんとなくすでに意味を理解できるようにしたのだった。
その為にヨーロッパの諸言語を話す者達にとっては、エスペラント語の習得の容易さに繋がっている。
例えば「塩」という単語
- 英語: salt (ソルト)
- オランダ語: zout (ザウト)
- ドイツ語: salz (ザルツ)
- ラテン語: sal (サール)
- スペイン語: sal (サル)
- イタリア語:sale(サーレ)
- フランス語: sel (セル)
- ロシア語: соль(ソリ)
- ポーランド語: sól (スル)
このように似ているところが多い。
これはヨーロッパの諸言語の源流が、インド・ヨーロッパ語族という大枠に属していて、ルーツを辿ると同じになると考えられているからです。
ここに目を付けたザメンホフ氏は、多くの単語でその共通点を見出し、新しい単語を造る時にその意味合いを推測しやすいようにした。
こうしてエスペラント語で塩は、「salo」(サーロ)とした。(名詞なので”o”で終わる)
エスペラント(Esperanto)という言葉自体もラテン語を想像させる。
エスペラントという言葉の意味はエスペラント語では「希望をもつ者」という意味だそうだ。
ちなみに、”希望”はイタリア語で、”Speranza”
スペイン語では”Esperanza”
ポルトガル語では”Esperança”
となりどれも似ている。
現在、世界中に存在するエスペラント語の話者達からは、結局はヨーロッパ寄りの言語であるという指摘がされている。
しかしボク個人的に思うのは、それはザメンホフ氏がヨーロッパ人で、当初、ヨーロッパの民族間の対立を温和する為に生み出されたという経緯がある以上仕方ないのかなとも思う。
また、それでもヨーロッパの言語の構成や、ABCのアルファベット文字は、他の地域の言語や文字よりもかなり扱い易い、というのは客観的事実なのではないでしょうか?
新しい単語が必要な時には?
言葉は生き物である。
その時代ごとによって新しい概念は生まれてくるし、新しい単語は増えていくものです。
これは、当初ではザメンホフ氏が新しい単語を考案していたが、彼亡き今、現在ではどのようにしているのでしょうか?
現在、『世界エスペラント協会』では、このように答えています。
それは、「みんなで新しい単語を造る事ができるのだ」と!
例えば18世紀にこの言葉が生まれた当時、「コンピューター」という物は存在しませんでした。
しかしその後、その言葉が日常的に各言語で使われ始めた時、エスペラント語にも取り入れることが決まりました。
コンピューターで言えば、「Komputatoro」や、「Komputero」など、エスペラント語風に呼ぶ言い方が始まったそうです。
そして最終的に一番彼らみんなにとって言い易かった「Komputilo」が多数決で決まったのでした。
こうして語彙も増え、現在では辞書も作られています。
コラム
日常会話で最低限、会話を理解するのに必要な語彙数っていくつくらいか知っていますか?
これは、既存の言語で言うと以下のように言われています。
- 英語、3000語
- フランス語、2000語
- イタリア語・スペイン語・ポルトガル語、1800語
- ドイツ語・中国語、5000語
- 日本語、10000語(←(◎_◎;))
こうして比較してみると日本語の難しさが一目瞭然…!!(日本語にある漢字と和語の存在や、擬音語や人称代名詞、敬語の種類の多さなどが理由らしいです…。確かに日本語って複雑ですよね…。)
エスペラント語にこの統計は出ていませんが、ラテン語をベースにし極力シンプルに構成してあり、当初ザメンホフ氏が発表した時点ではこの言語の単語数は900語であったそうです。
たった900語!?それだけで日常会話が出来るようになっていた、というのには驚きです…。
著名人と世界に与えた影響
エスペラント語は、その発想の起点が「平和と平等」にあり、また言語の違う民族間の「相互理解や反差別」などです。
その為に、多くの著名人にも影響を与えました。
日本においてはそれが伝えられてきた当時1906年(明治39年)、『日本エスペラント協会』が設立されました。
かの芥川龍之介や宮沢賢治もエスペラント語を学んでいたとされ、宮沢賢治の有名な作品「銀河鉄道の夜」にもその名前が見て取れるそうです。
そして新渡戸稲造もエスペラント語を学んでいました。当時、国際連盟事務次長だった彼は、世界平和の為にこのエスペラント語が世界語となるように国連に推進しました。
しかし、そこには常に人間の闇の利権も絡んでいました。
当時、力のあったフランス、ドイツ、イギリス、ロシアなどから、自分たちの言葉が世界標準語候補から外されるのを嫌がられ、それはすぐに廃案となってしまったのでした。
さらにその後、ドイツ・ナチス政権や、ソ連・スターリン政権などは、自由平等を求めるエスペラント語者達を不都合に思い、危険視扱いにし弾圧していったのでした。
日本では過激な左翼団体などがエスペラント語を後押ししていった経緯もあり、厳しい弾圧と差別を受けました。
今でもその名残としてそれらを知る人物達からは、エスペラント語に対する偏見が残っているようです。
人工言語は過去にもたくさんあった!?
人類の歴史の中を見てみると、特に中世以降で数多くの人工言語が生まれています。
それらのほとんどはやはりヨーロッパで生まれていて、アルファベットを使い英語やラテン語などをベースに造られています。
どれもそれぞれに文法の煩わしさを排除し、なるべく簡単に分かり易く造られています。
その中でもとりわけ面白いのはこちら!文字の代わりに音の高さで意思疎通をはかる人工言語ソルレソル!!
また口笛言語なんてものもあります!人間ってすごい!!
今後の未来と可能性
現在では世界中でエスペラント語を話す人口は多くて200万人はいると言われています。
ユネスコの諮問機関ともなり、その地位も確立してきています。
1905年からは毎年(戦時中を除き)世界大会が開かれ、そこには世界中からこの言語を話す人々が集います。
またその両親から生まれてきた「エスペラント語ネイティブ」の子も誕生しています。
その子たちは、両親の話す母語とエスペラント語のバイリンガルです。
そして日本でも、意外と多くの企業名や商品名にエスペラント語が使われています。
またテレビゲームやドラマ、映画、漫画(なんとドラえもんにまで!)エスペラント語が登場しています。
日本には現在、1000人超のエスペラント語話者がいて、定期的に勉強会が開かれていて、年に一度の全国大会も開かれているそうです!
そして実はGoogle翻訳ではなんと、エスペラント語が選択できます!
まとめ〜平等な世界の為に〜
いかがでしたでしょうか?
英語以外に、このような言語があったなんてみなさんはご存知でしたか?
英語は、現在、事実上の世界共通語となっていますが、それって不公平にみなさんは感じたことがありませんか?
それだと特定の国や民族にとっては有利に働き、それ以外の国の人々には不利ですよね。
また、母国語の特性上、英語が上手く話せない民族も多くいます。
(日本語もその一つだと思います!)
<関連記事>
>>【英語学習】ペラペラ話すとは!?英語について知っておきたい事
さらに、その不公平さを助長するが如く多くみられるのが、英語のネイティブスピーカー達は、多言語を話せる人があまりいません。そもそも勉強さえしようとしない人も多くいます。
逆に弱小国と呼ばれる国の人々ほど、母国語に加え英語や、さらに他の言語もよく話せます。
日本という国も決して弱小国ではないので、僕らは基本的に外国語を学ぶ時には英語だけですが、アジアの小国などに行くと、英語に加えて日本語や中国語などを勉強している人たちをよく見かけます。
それはなぜか?就職に有利だから、と。
結局は生き抜く為に、より多くの努力をしなくてはいけない…。
弱い者は時間もお金もかけて努力して大変な道を歩き、強者はただ何もしないで見ているだけ…。
世界がそのような図式に見えてしまい仕方ありません…。
これではいくら時代が経っても昔に起こった戦争の跡を追っているだけで、いつまで経っても世界は平等になりませんよね。
これは当初、エスペラント語を創案したザメンホフ氏の嘆くところと同じだと思います。
このエスペラント語は、そういった不公平を無くすためにも誕生した言語でありました。
地球はおそらくまだまだ混乱し続けます。
そうして、いつの日か僕らが己のエゴや欲望、支配、暴力などを手放せ、お互いが真に手を繋ぎ合わせられる時が来た時に、その時の地球語としての言葉は、もしかしたら、このエスペラント語になっているのかもしれませんね。
その時は、世界は本当の意味で平和になっている時だと思います。
その日が早く来る事を願って…!