衝撃、ジェンベとの出合い!!アフリカ人をつなぐ太鼓の音とは

『いつかジェンベを学びたい!』

のぞみは一緒に旅をする中で時ある事にそう言っていた。

ボクはそれについてをあまりよく知らなくてスルーしていたのだが…。

しかし今滞在しているガーナのケープコーストで、それが見れるという情報を得た。

近くにある文化センターでジェンベを演奏するグループがいるらしかった。

ボクもせっかくなので、ジャグリング練習の合間にそれを見学させてもらいに行く事にしたのだった。

 

*ジェンベとは西アフリカの伝統的な太鼓のこと

今までのあらすじ
西アフリカを旅しガーナにまでやってきた僕とゆうきとのぞみ。現地のパフォーマたちと出逢い3週間後に開かれるというサッカーアフリカンカップのオープニングセレモニーでの出演を持ちかけられた。ジャグリング初心者だった自分は目下修行の毎日を送っていた。

アシャンティ音楽団のコフィー

ケープコーストの郊外の広い敷地にその文化センターはあった。

海に面していて敷地内はコテージがいくつか建てられている。

ガーナ 、ケープコーストの文化センター

 

僕らを迎えてくれたのは、アシャンティ音楽団というグループだった。

そのリーダーのコフィーは大柄な男性で、無骨な顔はライオンともゴリラとも取れる強面の顔立ちをしていたが、その目はとても優しくて僕らの訪問を歓迎してくれた。

 

さて、とりあえず来たはいいが、ボクはまだこの「ジェンベ」というものをあまりよく分かっていなかった。

のぞみやまさえはジェンベを見るなり喜んでいたが、実際のところ僕にとってはそこまで興味のあるものではなかった。

とりあえずせっかくなので現地文化を見に来た、それくらいの思いだった。

しかしここでの出逢いが、その後のボクの人生を大きく変える事になろうとは、この時はまだ思っても見なかったのだった…。

西アフリカの伝統楽器「ジェンベ」

西アフリカの伝統楽器「ジェンベ」

 

そしてコフィー率いる一団は、デモンストレーションを見せてくれると言って、その場に僕たちを座らせるとパフォーマンスを始めてくれた。

大、中、小のさまざまな太鼓を使いリズムが鳴り響いていく。

それぞれが違うリズムを奏でながら、ある一定のところで交差しグルーヴを生み出す。

そこに鈴の音や、マラカスのような楽器でシャカシャカといった音も加わる。

迫力があり、熱気が体に伝わってくる。

 

しかしそれらはこれから始まるコフィーの演奏のベース音でしかなく、そこからは僕は引き釣り込まれるように見入っていった。

コフィーはジェンベをひもで股の下に釣り下げ、そしておもむろに叩き出した。

その瞬間にボクはカミナリに打たれるような衝撃を覚えたのだった!!

アシャンティ音楽団。右がリーダーのコフィー

アシャンティ音楽団。右がリーダーのコフィー

「タタタタタタン!!!パパパ、タンタン!パパパパパパパパパパッ!!!!」

彼の演奏するジェンベの音は、後ろで作り出されるベース音に乗っかって自由自在にリズムの波を駆け抜ける。

ジェンベを叩くその手は信じられない速さで動かされ、その連打音が軽々でなんと心地良いことか!!


予想よりも甲高い音が響き渡るジェンベ。高音と低音の使い分け。

リズムの波が気持ち良すぎてボクは酔いしれた。

こんなにもエネルギッシュで、かつ繊細だなんて…。

 

すごいぞ、ジェンベって!!!!

 

ボクはまたコフィーの存在にも畏敬の念を覚えた。

ジェンベは神聖なもので、それを扱う彼はジェンベマスターとも呼ばれていた。

 

ボクはこの瞬間に、背中に電気のようなものがビリビリっと走るのを感じたのだった。

こんなのを感じたのは生まれて初めての事だった。

演奏が終わっても、ボクは感動からしばらく動けなかった。

凄い…。月並みだが、それ以上のどんな言葉を持ってしても言い表せない。

 

この日の感動、それはボクの脳裏深くに焼き付いたのだった。

 

ジェンベの繋ぐもの

その後宿に戻る道中、ボクはジェンベを担いでいた。

そう、勢い余って買ってしまったのだった。(笑)

いや、半分無意識だった。ボクも彼みたいになりたい、彼のような演奏がしたい!心から感動し、それは衝動となって考えるよりも先に行動していたのだった。

 

「ジェンベマスター」かぁ!

一つ、自分の夢ができたのだった。

 

それからというもの、ボクはジャグリング練習の合間にジェンベをやった。

 

ただ、どう叩いていいのか全く見当もつかず、そもそも自分は音楽を一度もやった事がないし、好きと思ったこともない事を思い出したのだった…。

小中学校でも音楽の時間はあまり好きではなかった。

しかしあの時見たコフィーの演奏を思い出すと、身体中が熱くなるのを感じた。

「勉強はしたくなった時にすればいい」とは、まさにこういうことかも知れない。(笑)

 

僕らはその後、先生を探しレッスンをつけてもらう事にした。

さすが本場の場所なので、教えてくれるという人はたくさんいたのだった。

ジェンベの基本からレッスンを受ける

ジェンベの基本からレッスンを受ける

ジェンベは正確にはガーナのものではなく、僕らが旅してきたマリとその一帯、つまり古代マリ王国で使われていた楽器だった。

→古代都市バマコ。黄金郷と呼ばれたその都!

 

そこで、人々は宗教行事から冠婚葬祭にまでジェンベを用いたとある。

また畑作業でもその傍らで演奏し、作業の士気を上げたそうだ。


まさに生活の多くの場面で使われ、非常に重要な楽器であったのだった。

古代ではグリオという職業があり、王宮に仕え、音楽を奏で詩や唄などを歌ったともある。

それは世襲で代々子に受け継がれたそうだ。

古代マリ王国の伝統的な楽器たち。

古代マリ王国の伝統的な楽器たち。中心にあるのは豊穣の女神ニンバ像

このグリオとは、ヨーロッパにあった王宮道化師にも似た役割かもしれない。

→クラウン?ピエロ?人の心を掴むその裏に隠された歴史とは?

 

生活の中にある太鼓の音

こちらの者は今でも小さい時から太鼓や歌、踊りを身近に接して育つ。

その為にみなリズム感が抜群で、およそ誰でも太鼓を演奏できる一定以上のレベルを持っている。

また僕らが練習していると、ちょっと貸してみろと、みんなが太鼓を叩きたがった。

彼らの故郷の歌を披露してくれた

彼らの故郷の歌を披露してくれた

こちらはベース音だけ叩き、ラップを披露してくれた。音楽が身近にあるのを感じる

こちらはベース音だけ叩き、ラップを披露してくれた


アフリカ広しといえど、太鼓はアフリカ中のどこの場所でも存在する。

生活に深く根付いている太鼓は、アフリカ人の魂とも言えるかもしれない。

太鼓で彼らは喜怒哀楽を表現し、太鼓で神や精霊と繋がってきた。

太鼓とは一番原始的な楽器だ。それ故に僕ら人間の本能にまで深く響き渡るのかもしれない。

それは体を自然と動かす魔力がある。僕らの古い記憶と結びついているからだろうか?

様々な時間、それぞれの想い。

僕らは他の街にも行ってみた。もちろんジャグリングやジェンベを持って。

ガーナは海沿いを行けば、どこも自然のままののどかなビーチが続いていた。

商業的に開拓されているわけでもなく、そこでは漁を営む者や、地元の若者らがサッカーなどをして遊んでいた。

子供達の無邪気な声が響き渡り、人間も自然も本来の姿をしていた。

ジェンベを叩く望とまさえ。近くの子供達が寄ってきてじゃれあっている^^

ジェンベを叩くのぞみとまさえ。近くの子供達が寄ってきてじゃれあっている^^

雄生とフィン(Mr.ファンタスティック)はアクロバットの特訓中!

ゆうきとフィン(Mr.ファンタスティック)はアクロバットの特訓中!

物珍しい光景に、地元の若者らも見物にくる^^

物珍しい光景に、地元の若者らも見物にくる

僕らを囲んだ世界は着々と流れゆく。

日本から遠く離れたこの地に身を浸し、今出来る事に必死に取り組む日々。

それは輝きに似た青春の日々だった。

僕らは一歩づつ地を踏みしめ、今日という日を歩んでいったのだった。

 

ー表記に関してー
ジェンベはジャンベとも表記されます。
英語ではDjembe。エとアの微妙なところの発音をします。
日本ではジャンベという言い方が一般的に広まってますが、より現地の発音に近いのは’’エ’’なので、ここではジェンベと表記します。

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