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日本人は他の民族とは明らかに違う。
また、日本には神道という特有の宗教もある。それが日本民族をつくる上で最も重要な基盤となっていると思う。
そもそも日本人はある惑星から地球にやって来た宇宙人なのではないだろうか。
僕はそう思っている。
そして地球にはそういった民族が無数にあり、それぞれが同じ環境下に暮らす多国籍な星なのだ。
その一つにこのドゴン族も数えることができるだろう。
ドゴン族とはマリの奥地に住む部族のことだ。
彼らには独自の言語があり、独自の文化があり、独自の宗教がある。
それは完全オリジナルな宇宙観で、そこには全知全能の創造主も存在する。
最初に創られた人間がいて天上界から降りてくる話。その後に広がるストーリー。
古代より語り継がれていた星の運行や宇宙の知識。それは今の最新科学の研究ともピタリ合うという。
それはギリシャ神話や日本神話にも通ずる物語であり、今日も彼らはそれに沿って生きている。
現在ではドゴンの国は、マリの一部として自治区扱いとなっている。
世界遺産があり、欧米の旅行者にも人気の場所で、この村々を歩いて回るトレッキングコースも整備されている。
しかし商業用に開発されてしまい、素朴な原住民生活を壊してしまっていると、異を唱える人もいるが…。
これも時代の流れだろうか…。
しかし現実を見てみないと分からない、ここまで来たからには行ってみたい。
僕らは好奇心から、次の目的地にドゴン族の村々を目指す事にしたのだった。
目次
マリの奥地・ドゴン族の村へ
ドゴン族の村へはその入り口である、バンディアガラという街までバスが出ていた。
そこから乗合バンに乗り換えると、更に奥地にある村まで行ける。
村が近づいてくると、何やら絵本の世界に迷い込んだようなかわいらしい家が見えてきた!
僕は息を飲んだ。
『何だこれは!?』
初めて見る世界に驚いた!
まるでおとぎ話の世界のようだった。
興奮冷めやらぬまま村へと着くと、そこの広場ではちょうどお祭りが行われていた。
独特の衣装にお面を付けて踊っている。
これもまたおとぎの世界のようで、今までどこでも見た事のないものだった。
これらはドゴンダンスと呼ばれ、神話に沿った踊りだったり、精霊を祀る踊りだったりする。
数多くのお面が存在し精霊や動物を模しているのだ。
その後に現れた老年の方々。鉄砲を撃ち、狩りの祈念をしていたのだろうか。
様々な出し物があり、多くの人で賑わっていた。
小さな村のどこにこんなに人達がいたのだというくらい盛り上がっている。
この時期12月は彼らのお祭りシーズンらしく、毎日のようにどこかでお祭りが行われてるようだった。
しかしちょうどタイミングよくこのお祭りを見れた僕らはラッキーだった。
お祭りとあればパフォーマンス。そこで雄生が黙っているはずがない。
ジャグリング道具片手に現れた異国の人間を彼らは一瞥すると、否定することもなく、そのまま『いいぞ、行けっ!』と場の中に押し込んでくれた。
後にいっぱいいっぱいだったと語ったこのショーだが、大勢のお客さんに見守られながら盛り上がっていた。
僕は、さすがだなと、思わずにはいられなかった。
苦悩、自分とは?進むべき道を求めて
雄生は僕に常に優しく、なんでも教えてくれた。
ジャグリングやバルーンアートなどの道具も、彼の技術も惜しみなく与えてくれた。
一緒に練習しようとも、いつでも誘ってきてくれた。
僕は、どこでも人の中心にいて、誰とでも仲良く出来る彼が羨ましくも、それを認めたくない自分がいて、妬みと羨望の間で悩んでいた。
僕は僕自身と23年間付き合ってきて(当時)、その事にようやく気付いていた。
自分は頑固であり、負けず嫌いだと。
素直でなく、コンプレックスの塊だと。
そして、僕は、人の後を付いていける人間ではない事を。
今後も雄生と共に過ごし、彼の技術やコミュニケーション術を学び、共に付いて回り旅した方が得かもしれない。
しかし、それは、僕自身が拒んだ。
僕は正直に、とても悔しかった。
僕の小さなプライドが邪魔をし、彼が優しくすればするほど僕はそれを突っぱねた。
今、少し彼から距離が必要だった。
自分の道は自分で歩みたい…。それしか出来ない。
僕は頑固だから…。
別々の道へ
僕はしばらく一人になりたいと雄生に伝えた。
雄生は何でだよと言いつつも、僕の今までの素直でない様子を見ていて理解してくれたようだった。
こうして僕らは別々の道を行く事を決めた。
ただ、僕らの目的地は南アフリカだ。まだまだずっとこの先だ。
とりあえずしばらく別れ、この先のどこかの街で合流する事にした。
望は僕と一緒に付いてきてくれた。実際のところ少し心細かったので嬉しかった。
こうして僕と望は、雄生と別れ別行動をとる事にしたのだった。
最後、別れる時も彼は子供達に囲まれていた。
僕は一度冷静に自分自身を見つめたかった。
次会う時までに何か成長していられたらいいな。
そう思い彼の背中を見送った。
ドゴン族の村トレッキング
ドゴン族の村は、バンディアガラの断崖と呼ばれる崖下に造られている。
ユネスコ世界遺産にも登録され、標高差500mにもなるこの崖は150kmにも渡って続き、そこにおよそ700の村々があり25万人が住むと言われている。
ドゴン族は、1300年頃からこの地に住み始め、他部族から身を守るためにこの環境に身を置き、また他宗教に改宗する事もなく独自の文化と生活を守り抜いてきたのだ。
それが未だに色濃く残る慣習として残っているのだった。
僕と望はこのトレッキングコースを歩いて回る事にした。全長50km程のこの行程は崖の上り下りも含めてアフリカの大地を歩き村々を巡る、唯一無二の経験だった。
燦々と降りしきる太陽は容赦無く僕らを痛めつけてきた。
途中暑さの為に休み休み進む。しかし夜は一転肌寒く感じる事も多かった。
村に電気や水道などはない。少し大きな村では発電機を持っているところもあるが、基本的に夜は月明かりだけが頼りとなる。
しかし、外で蚊帳一枚に守られながら眠るのも悪くはなかった。
変わりゆく文化〜そして
全ての道を三日かけて進むと、また最初の街、バンディアガラへと戻ってきた。
この地域では伝統が色濃く残るが、現代では欧米文化と観光客、そのもたらすお金によって彼らの文化や価値観も大きく変わってきていると聞く。
街へと出て行く若者も増え、また砂漠化の影響もあり作物が取れなくなってきているという現実もあった。
この先どうなるのか分からない。
これは地球人類全体の問題だ。
僕もここの観光客である事には変わりないが、その事実を知りそういった現状を周囲へと伝える事。
また、彼らの文化を尊重し、過度に接触する事なくその生活を覗かして貰うという謙虚さは大切だろうと思った。
彼らの生活を横目に歩き続けながら考える。
自分って何だろう?
自分に何ができるのだろう?
自分は何がしたいのだろう?
『求めよ、さらば与えられん』というキリストの有名な言葉が頭を巡る。
アフリカと自分。無邪気に笑う子供達を見ながら、考えすぎに注意し、目の前にいるこの純粋な存在達に心和まされるのであった。