【潜入ハンドパン工房!】国産ハンドパン「SONOBE」誕生秘話の巻

ハンドパン工房Sonobeへ

ハンドパンとの出合い

ヨギー

すごいですね、そんな波乱に満ちたストーリーがあったんですね

園部さん

そうだね、あの頃はガムシャラだったよ。後にも引けないし、感覚を信じて進むだけだったね

その後スティールパン製作&販売は軌道に乗り、実績を重ねると共にまたオーダーもたくさん入るようになっていった。

多い時は1年待ちだったそうだ!

生活の方も安定し、プライベートでは結婚もして子供も生まれた。

この時期は、順風満帆に人生は進んでいったのだった。

PANArt社の発明品

「Hang」を発明したスイスのPANArt社とは以前からやりとりがあった。

同じスティールパンメーカーとして、同社のFelix氏とも繋がっていた。

その彼が窒化処理を施し硬くなった鉄を楽器に転用するアイデアを公表した時も知っていたし、彼の呼びかけの元そのアイデアで作品製作もした。

それから程なくして、彼は「Hang」を発表したのだった。

Felix氏はもともと奇抜な発想をし、面白い人物であったと園部氏は語る。

そして園部氏自身も新しい楽器の可能性に着手してみたかった。

しかし現実的には溜まっているオーダーと、家族を養う事を考えた時の責任から、簡単に新しい道へは行けなかった。

運命のバリスティール

そんな折に、一件の相談が舞い込んだ。

世界でHangが人気となり入手困難となる一方、それを模したバリスティールパンと呼ばれる製品が出回っていた。

これを持つ日本人から園部氏に相談の連絡が来たのだ。

曰く「チューニングがズレてしまったので、直してもらえませんか?」

との事だった。

実際に直せるかはわからないが診るだけみるよ、と前提を置き、そのチューニングを試みたのであった。

しかしそれをやっている最中だった。

バリスティールパンは表面に塗装が施してあり滑りやすかったのだ。

園部氏が膝に載せて診ている間にあろうことか、膝から滑って床に落としてしまったのだった。

その瞬間に、二枚のシェルが合わさっている所が「ベリッ」と外れてしまったのだ。

慌てて接着か溶接をしようとしたが、結局直すことはできなかった。完全に壊してしまったのであった…。

そのオーナーの方からは、「大丈夫ですよ…!」と許してもらえはしたものの、園部氏は心苦しかった。

そして言われたのが、「じゃあ園部さんも作ってくださいよ!ハンドパンを」と。

ヨギー

そう言われた時の園部さんの気持ちはどうだったんですか?

園部さん

うん、やろうと思ったね!実際にはすごく興味があったからね。そして何よりもこれがハンドパンに着手する良い言い訳でもあったんだ、嫁に言う為のね。はは!

大学教授の発想

程なくして、もう一つの運命的な出会いがあった。

その時も突然彼の携帯電話は鳴った。

出てみると、とある大学の教授さんからだった。

何やら彼のする研究を手伝って欲しいとのことで、一度その教授さんと会うこととなった。

その方は植物や自然界が発する音の研究をしていて、曰く、

「スイカの持つ周波数はインドネシアのガムランの出す周波数と同じなんですよ!そしてそれは非整数倍音なんです。倍音には整数倍と非整数倍があり、人間が作ったものは全て整数倍。けれど植物や自然界のものは全て非整数倍になります。

今の多くの楽器は西欧の理論で作られていて整数倍音を元にしています。そこでこの自然界の音を配置した非整数倍で楽器を作ってもらえませんか?楽器の設計はこちらでしますので、形にしてもらえませんか?」

との事だった。

そこで教授が出してきた設計図には、2枚の丸まった鉄の板を貼り合わせた円盤型、そこに小さな窪みが並び音階が付けられているものだった。

そう!!

これは『Hang』のそのまんまだったのだ!

もちろん教授さんはHangの存在なんて知らない。

園部氏にとってみれば、これらの運命的とも言える流れで「Hang」の研究&製作、つまりハンドパンへと着手することとなったのであった。

2014年の事であった。

この時、園部氏45歳。再び大きな転換期を迎えたのであった。

 

MEMO

「Hang」と「Handpan」の違い。

HangはPANArt社の製品。名称登録されている。
Handpanは他のメーカーが作るものでこの楽器の総称

今後の目標

それから5年。

今ではみなさんもご存知のように、日本を代表するハンドパンメーカーへと成長した園部氏、そしてハンドパンSonobe。

今でも日夜研究し、毎年のように製法や素材にこだわって、新しい作品を発表する。

音のクオリティーは作品ごとに違うが、どれも素晴らしい。

美しい倍音が太く響き渡るものもあれば、硬めの音でパーカッシブなもの、サイズ違いや、音の配置の研究、また新しい技術の導入にも余念がない。

ヨギー

今後はどのように進んでいくのが目標ですか?

園部さん

ここに来るまでもそうだったけど、本当に大きな御縁によってここまで辿り着かせてもらってきた。僕はこれからも自分にできる一番の仕事をして、最高の作品を作り続けたいと思うよ♪
更なる高みを目指して邁進する園部氏。

新作の「F2」ハンドパンを試奏する園部氏。誰よりもハンドパンが好きである。

まとめ

はい!いかがだったでしょうか?

純国産、日本製のハンドパンメーカーSonobeの誕生秘話でした。

ぼく自身、今回インタヴューをさせてもらい、園部さんの最初のスティールパンとの出合いから始まって、波乱万丈の末にここまで辿り着いたという物語を知れてとても面白かったです!

また園部さんから感じるのは、彼はまさに『一流を求める職人』であると言うこと。

常にトライ&エラーを繰り返し、一度作ったものをまた見直して作り直す。

妥協せずに、嘘をつかずに、最高のものを求め続け頑固で一途なまでのその姿勢には、畏敬の念さえ生まれます🙏

ぼくもいちプレーヤーとして、最高の音色の楽器を演奏する喜びは大きく、園部さんの熱意には感謝しかありません。

けれど園部さんは最後に言う。

園部さん

僕は楽しんでるだけだよ!大変なこともあるけれど、やっていてとても楽しいんだ!だから全てに感謝かな!はは!

これからも進化を続けるハンドパンメーカーSonobe!

みなさんも要チェックですヨ❗️

ヨギー

 

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